ヨーロッパ人の作る英文契約

 「欧米人の作ったものだから「英語」あるいは「英文契約」としては、きちんとしたものだろう」

という誤解が、多くの日本人にはあるように思われます(私もその一人でした)。

しかし、英文契約の翻訳やチェックをしていて非常に難儀するのは、実は、英米人以外の欧州の会社が作った英文契約なのです。

確かに、イタリア語、ドイツ語、フランス語など、多くの言語は、(英語では使わない記号もありますが)アルファベットを使用しています。

なので、イタリア人、ドイツ人、フランス人などが作成した英文は、「きっと正しいだろう」と思ってしまうのだろうと思います。

そこに大きな落とし穴。

むしろ、近接した言語同志だからこそ、逆に、英語として間違った、あるいはわかりにくい表現になっているように、私には思えます。

日本人は、日本語から類推して英語を考えたりはしないでしょう。

でも、非英語圏の欧州人は、自己の言語から英語を類推することができるのではないかと思います。

その思考過程を垣間見ることはできませんが、彼らの作成した英語を見るたびに、その思いは強くなります。

その結果、英米人の作成する英文契約では決して見られないような単語や表現が多用され、あるいは誤用されることになっているのではないかと思われるのです。

また、英文契約は、英語であることから、どうしても英米法の考え方がその内容に反映されざるを得ないわけですが、英米法ではなく大陸法系(ドイツ法、フランス法等)の法体系を有する国の方が英文契約を作成すると、どうしても、大陸法系の考え方が、定義なく、アプリオリに使用される場合も散見されます。

そして、それはもともと英語にはない概念なので、辞書を調べても、その内容がわからないという場合があるのです。

こと英文契約に関しては、「欧米人」という括りで判断しその英語を信用することは厳に慎むべきだと、最近、強く思うようになりました。