デザインの保護~NBL1020号

26年3月1日号のNBLの特集は、「新たなデザイン保護体系を目指して」と題し、中山先生らがなされているデザイン保護に関する知的財産権横断的な検討を掲載しています。

中山先生によると、意匠出願は、欧米や中国が大きく伸びているにも関わらず、日本では、逆に減少傾向だそうです。

個人的な感想でいえば、意匠=デザインという認知の問題もあると思いますが、一番のポイントは、著作権での保護で十分と考える人が多いのではないかということです。

意匠権は、出願登録が必要であり、また、商標法と同様の考え方で、商品分類ごとに出願することが必要です。
さらに、登録から20年間のみ有効で、商標法とは異なり更新ができません。
加えて、著作権法と異なり、産業財産権法の一つである意匠権は、あくまでも国内の権利にすぎません。

これに比べ、著作権は、無方式主義で、何の申請/登録行為もなく発生し、死後50年という長きにわたり保護されます。
しかも、意匠権と異なり国際的な保護を受けることもできます。

一番手間と金のかからない方法が存在する以上、著作権の保護対象と意匠法の保護対象の区別があいまいな現段階では、なかなか意匠登録件数を増加させるのは、難しいのではないでしょうか?

もちろん、意匠登録件数の少なさが、将来の日本経済に禍根を残す可能性があるのかもしれません。

しかし、著作権法の保護範囲との区別を明確化しようとしても、従来の著作権の保護範囲を変更~縮減することができるとは到底思われません。

また、意匠法と著作権の保護対象における議論で必ず出てくる「応用美術」等に関する「創作性」を云々したところで、学者や専門家しか区別がつかないような判断基準では、社会に受け入れられるとも思われません。

とすれば、著作権とデザインの保護範囲が重複することをあえて認めたうえで、デザイン法独自の保護を受けるメリットを強調するような、新たな法制度が望まれるのではないかと思います。

(少なくとも、デザインは商標と同様の機能を持っているはずですから、更新登録を認めることはできるのではないかと思います。特徴ある形状としての意匠の保護は登録から20年で、もう少し創作性があると死後50年、というのは、納得のいく制度とは言えないように思われます。)

また、逆に、著作権法での意匠、デザイン、形態に対する保護が十分というのであれば、意匠出願件数、登録件数が減っていることのみをもって、日本経済の将来に問題があると判断することは、ひょっとしたら単なる杞憂に過ぎないのかも知れません。

いずれにせよ、NBLの特集としては久々に読んでみたいと思わせるものでしたが、なかなか出口がないようにも思われました。