災害復興におけるがれきの撤去と民法上の緊急避難

この度の大震災に関し被災地の復興を妨げる要因の一つとして、自分の所有地等に流れ着いた他人の所有物を、勝手に撤去していいのか、という問題があるようです。

民法上の原則では、自分(Aさん)の所有地に他人(Bさん)の所有物が飛んできたような場合、Bの所有物をA自らの判断で撤去することはできず(自力救済の禁止)、妨害排除の請求権があるかどうかを裁判所に判断してもらい、その上で公権力によって当該妨害を排除してもらうことになるはずです。

でも、公権力の発動を待っていては被害が拡大する恐れがあります。
そのために、民法は、「正当防衛」や「緊急避難」という例外を認めていますが、民法上の「正当防衛」は、『他人』の不法行為に対する防衛であり、「緊急避難」は『他人の物』から生じた危難をさけるためのものですから、地震で漂着した他人の物(がれき)を撤去してその下にいる人名を救助することは、緊急避難に該当する可能性があります。しかし、後片付けをすることまでもが「危難」を避けるためといえるかどうか、明確とは言えません。
また、判例では、「原則として私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対処して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げない」という一般論を述べて、一部自力救済を認めた判断をだしています。
ただ、緊急災害時のがれきの撤去が上記の要件に合致するのかどうか、合致するとしてもどの範囲までなのかについては、専門家にとっても難しい判断になるのではないかと思います。

従って、今〃現在の災害復興(がれきの撤去)というフェーズにおいて、何が違法ではないのかを明確にすることが必要に思います。

また、がれきを撤去したことによってその所有者から損害賠償請求が将来なされたとしても、すべて国や県が肩代わりすることを宣言する、という明確な対応が必要のように思います。

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