完全条項2

昨日に引き続き、「完全条項」について考えてみます。

完全条項とは、英米法上の「Parol Evidence Rule(パロール・エヴィデンス・ルール=口頭証拠排除原則)」を確認するためのものであり、それを具体化するものであって、「契約書面に書かれていない内容に効力を認めず、契約締結以後においても契約の修正は書面によらなければならない」、ということを規定する条項です。

このような完全条項は、英米法系以外の国の企業が当事者の場合や、日本企業間の国内契約において、不要なのでしょうか?

口頭証拠排除のルールは、日本にはありません。

あくまでも契約書は、契約の成立を証する「証拠」の一つに過ぎません。

ですから、この「完全条項」が契約書に記載されていない場合に、当事者間でEメールのやり取りなどがあり、その中で、例えば「契約書にはXXXと書いてあるけれど、ここはYYYという意味ですね」というような確認があり、相手方も「その通り」と返信しているような場合、契約書のXXXという記載があってもYYYという意味に解釈される可能性が全くないとは言えなくなってしまいます。

とすると、この完全条項は、英米法の原則の確認ですから、逆に言うと、英米法系以外の法系、つまり大陸法系の当事者がいる契約書においては、必ず書いておくべき事のように思われます。

そしてそれは、日本企業間の日本語の契約においても同様に当てはまるわけです。

最近の日本のシステム開発契約などでは、この完全条項を定めることが多くなりました。

これは、JISA(情報サービス産業協会)が出しているシステム開発のモデル契約で完全条項が入れられていることに起因しているものと思われます。
その2008年版では、まず第3条第2項で、

「第3条第2項(前段略~個別契約が基本契約に優先すべきことが書かれている)
(以下後段)...また、本契約及び個別契約が当該個別業務の取引に関する合意事項のすべてであり、係る合意事項の変更は、第35条(本契約及び個別契約内容の変更)に従ってのみ行うことができるものとする。」
それを受けて第35条で

「第35条 本契約の内容の一部変更は、当該変更内容につき事前に甲乙協議の上、別途、変更契約を締結することによってのみこれを行うことができる。」と定められています。

完全合意に関しては、日本企業間においても問題となりうること、そして現実にJISAが作成している国内システム開発契約のモデル契約ではその趣旨が取り入れられていることなどからもおわかりのように、この完全条項は、予測可能性の担保という観点から、あらゆる国内契約においても積極的に取り入れていくべきものだと考えています。

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