動産売買に関する国連条約(ウィーン売買条約)

有斐閣「ジュリスト」1月1日・15日合併号に、龍谷大の中田邦博教授の「契約法の国際化」という解説が掲載されていたので、拝読してみました。
国際的動向と民法の改正の関連性などについての解説でした。

ちなみに、国連動産売買条約(ウィーンで採択されたためウィーン売買条約ともいいます)は、採択された1980年から30年が経過し既に各国で批准が進んでいたのですが、日本では、2009年にようやく発効したものです。

この条約が日本においても発効した結果、それがいわば国際取引に関する「一般法」の役割を有するため、日本国企業が当事者となる国際契約の多くの場合、契約書に特約を入れていない部分については、この条約の定めが適用されることになります。

しかし、条約の中身がどのようなものかについては、あまり広く知られているとは思われません。
大企業で且つ多数の法務部員を有する会社や、国際取引を専門に行う会社ならいざ知らず、国際取引をこれから始めようと考えている会社では、大多数がその中身を良く知らないのが普通でしょう。

国際契約を作成する場合、二つの方法でこの条約を回避することができると思います。

一つは、契約書中に「条約の適用はない」と記載することです。

もう一つは、条約の適用の余地がないほど、契約書の条項をこと細かく規定することです。

ただ、前者の方法の場合、ウィーン条約中の自分に有利な規定もすべて排斥することになるため、結果的に不利になる可能性があることに注意すべきでしょう。
もちろん、企業経営においては「予測可能性」を高めることがリスク管理として良い方策となりますから、条約すべてを排除することはよく行われています。
しかし、例えば、英米の高圧的な企業から高圧的な契約書を押しつけられ、なおかつ条約その他の国際的取り決めは全部排除された上、米国の州法・連邦法に準拠するというような契約が多数見受けられますが、それが本当に自社にとってリスク回避になっているのか、良く検討してみる必要があるでしょう。

また、後者の方法を取る場合、ウィーン条約の中身を良く知らないと、抜けが生じる恐れがあります。

ですから、実務上、ウィーン条約の適用を全面排除するという前者の方法を用いることが多いのは、ウィーン条約の中身を良く知らないことが原因ではないかと推測できます。

最近、ようやく概説書や実務解説書が揃ってきましたので、一度勉強してみてはいかがでしょうか。

最近の解説書でも良いのですが、私がお勧めするのは、条約発効前の2008年に発売された中村秀雄先生の「国際動産売買契約法入門」(有斐閣、2800円)という本です。




国際取引の基本もわかり、一石二鳥だと思います。

また、条項ごとの解説があり、実務上の例文も入っているものとして、「ウィーン売買条約の実務解説」(中央経済社、4200円、杉浦保友・久保田隆編)があります。




英文と和文の対比がありますので、契約英語の勉強にもなると思います。
ただ、入門というよりは、契約実務を担当されている方向けと言えるでしょう。

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