法定耐用年数と在庫維持

マンションのガス給湯器が不調だったので、N社さんの工事代理店の方に来てもらいました。
マンションによくある台所とお風呂場のリモコンでガスに点火できるというものです。

作業をして頂いた方の説明は以下の通りです。

1)風呂場のリモコンは故障しているのは間違いないけれど、外にある基盤が壊れている可能性も否定できない。

2)リモコンは在庫があるが、外の基盤は、マンションが建ってから14年になるので、既に7年の法定耐用年数を超えており、メーカーの部品在庫保管期間である12年も過ぎているため、既に世の中に存在しない。

3)もし、外の基盤が悪くて不調が修正不能なら、ガス給湯器全体を30万円で交換することが必要となる、
とのこと。

マンションや住宅という長期にわたって居住するものの給湯というもっとも基本的なシステムに関する基本的な部品の法定耐用年数がたった7年で、メーカー部品在庫がプラス5年の12年しか存在しない、ということに驚きを覚えました。

実は、OEM契約書や、販売代理店契約書などの作成をしていると、時々、この「耐用年数」と「在庫維持」の問題に悩まされます。

在庫はお金そのものですから、可能な限り少なくすることが利益に直結することは最近の常識になっています(「ザ・ゴール」などで言われていたTOC=制約条件の理論です)。

ですから、メーカー側(供給側)は、部品在庫など、できるだけ早くなくしたいと思うでしょう。

販売店側(ユーザーへ販売する側)も、在庫の存在は同じですから、自分が保有する在庫は少ないに越したことはありません。

そこでメーカーと販売店側で互いに在庫を押し付けあうという状態が生まれます。

このとき、法定耐用年数+アルファの在庫をメーカーとして維持する、というような解決条項を設定することも多くあります。

でも、最初に述べたガス給湯器の件を経験すると、特に高額製品、住居部品のように当然長期の使用が想定されているような製品について、果たしてそのような短期に部品備置を止めてしまっていいものか、消費者保護の観点から少し問題に思えるのですが、それ加えて、企業戦略としてもそれで果たして正しいのか、疑問の余地なしとしません。

確かに経理上会計上は、上記の在庫僅少理論が正しいのかもしれません。

でも、顧客満足を第一に捉えていくことで初めてビジネスは成り立つはずです。顧客が満足せずに企業から離れて行ってしまっては、会計云々しても仕方ないようにおもうのです。
もちろん、N社のように、顧客がマンションの購入を決定する前に、まずゼネコンによって調達されているような場合、顧客の選択の余地はほとんどないかも知れません。
通常の顧客は一生に一度の買い物をするわけですから、ガス給湯器の部品(基盤)のメーカー備置期間に注意を払えるほど熟達した消費者は、関係者を除き、まずいないでしょう。

でも、地球環境問題が深刻化する中、ドイツの機械メーカーが昔から今までずっと部品在庫を長期に保管するとか、形式をあまり変更せず同一部品を長期間使い続ける、という姿勢が、企業戦略としても見直されるべきなのかもしれません。

もちろん、商品によって戦略になりえないものも多いでしょう。

でも、商品によっては、流通や在庫の仕組みをうまく構築することによって、企業の強みにしていくことができる場合もありそうな場合があるのではないかと、漠然とではありますが、思えてなりません。

ユーザー目線で考えた企業戦略を、ご依頼頂いた契約にどのように提案し反映させられるかを考えるのも、契約作成業務の一つの面白さです。
(ただし、なかなか良いアイディアは浮かびませんが...。)


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