民法改正~3~大村敦志「民法改正を考える」

前回のブログに引き続き、民法改正に関して最近発行された本のうち、大村敦志先生の「民法改正を考える」(岩波新書、720円+税)をご紹介します。



内田先生の「民法改正」(ちくま新書)とまったくと言っていいほど同時に(出版期日は10日違い)、東大教授で法制審議会の幹事という、内田先生と同じような立場にあり、日本民法会をリードされている大村先生が、まったく同じテーマについて書かれたという点で非常に興味をそそられました。

前にも書きましたが、岩波新書であるためなのか、本書は内田先生の本よりも「学術的」な書かれ方がなされているように思われます。

特に、民法の歴史に関しては非常に詳しく書かれています。日本民法の制定過程、ローマ法からナポレオン法典=フランス民法典のへの流れへという過去の歴史に90ページを割かれています。そのうえで、最近のヨーロッパおよび東アジア諸国での民法改正/制定の動きをもとに、民法改正の目的、改正の態様、改正の担い手という観点から整理されています。特に、改正の担い手、手続きという点にも注意を払っていることがユニークでしょう。

債権法の改正の個々の内容にはあまり言及されておらず、むしろ、債権法改正に続いて、家族法や不法行為法の改正の必要性にも言及されたうえで、最後に「財産から人格へ」という民法全体の改正の方向性を打ち出されておられます。民法が「人の法」であるという考え方を復権させることが有益だ、と述べられておられます。

最後は少し飛躍があるようにも思われますが、民法を「共和国」たる市民の法とし人間の顔をしたものにする必要があるという先生の「思い」が強く伝わってきます。

債権法の改正論議だけに終始することなく、民法が本来市民の法であったことを思い出させてくれる本です。
内田先生との切り口とは見事に異なった観点からの内容となっており、両先生間で若干の書き分けがなされたのではないかと邪推したくなります。

いずれにせよ、両先生の本は、2冊合わせても適当なボリュームと価格のものですので、是非読んでいただければと思います。

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