民法改正~個別論点6「不可抗力免責条項」-1

「不可抗力免責」については、法制審議会民法改正部会「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」第6番目(金銭債務の特則)の一つ目の論点として掲げられています。

現行民法においては、第419条において金銭債務の特則として3つの点が掲げられています。

その一つ目は、金銭債務の不履行の場合の損害賠償額は法定利率によるとするもの、
二つ目は、前述の損害賠償請求において債権者はその損害額の立証を要しないとするもの、
そして三つ目として、当該「損害賠償については、債務者は、不可抗力を持って抗弁とすることができない」という定めがおかれています。

これに対し審議会中間論点では、

「...民法第419条第3項の合理性に疑問を呈し,(金銭債務であっても)一定の免責の余地を認めるべきであるとする考え方に関し...債務不履行の一般則による免責を認める(との考えと)....金銭債務の特則を残した上で不可抗力免責のみを認めるという意見等がある....免責を認めることの可否及び免責を認める場合の具体的な要件の在り方について,更に検討してはどうか。」
とされています。

つまり、不可抗力免責を金銭債務にも拡大すべきかどうか、という方向から議論がされている模様です。

しかしながら、そもそも不可抗力に関する契約実務上の最大の問題点は、

    何が不可抗力であるかが非常に不明確である、

ということだと私は考えています。

こと国際的な契約においては、非金銭債務に関して不可抗力免責が認められる場合を、具体的に列挙して、可能な限り明確にしていこうとする姿勢が見られます。

しかしながら、日本企業間の契約では、不可抗力に対して一切言及がないか、仮に言及されていたとしても、「不可抗力の場合、債務者は責任を負わない」程度にしか記載されないのが普通です。

でも、例えば、「従業員のストライキ」や「ロックアウト」は、不可抗力なのでしょうか?

また、「部品等の納入業者の責めによりその部品の納入が遅滞したこと」によって、製造が遅れ、相手先への製品の納入が遅延した場合は、不可抗力なのでしょうか?

個人的な感想から「何となく」言わせてもらうと、従業員のマネジメントがうまくいかなかった結果として発生した労働争議が不可抗力というのも変な感じがします。
同様に、自ら起用した下請け部品メーカーの責めによる納入遅延が不可抗力と言っていいのか、はなはだ疑問に思います。

でも、現状では、契約でしっかり具体的に取り決めていない限り、これらが不可抗力なのかどうかを判断する基準がほとんどありません。

これが非常に問題だと思われます。

(長くなりましたので、次回へ持ち越します)
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